一斗缶&せんべい缶で調理用ロケットストーブを作ってみた【前編】


いきなりですが、“っていいですよね〜。
太古の昔から人と共にあった火。メラメラ燃える火をボーっと見ていると、こうなんというかあったかい気持ちになれたり、素直になれたり、童心に返れたり…と、火には使用目的とは別に不思議な力が宿っているような気がします。現代の生活の中で一番身近なといえばガスコンロの青い炎を想像する方も多いかもしれませんが、最近ではオール電化のお家も増え、そのガスの炎さえ見る機会が減ってきています。

さて今回から前編】【後編】の2回に分けて、そんな昔ながらの現代のアナログ的英知を結集して操る、自作調理器具“ロケットストーブを紹介していきます。
前々回の太陽熱温水器に続き、自然からの贈り物はありがたく使わせて頂く!をテーマに、ガスの使用量とその依存率を減らしていきます。いざ自然循環型生活へ!



ロケットストーブって何?


ロケットストーブは1980年代にアメリカで発明され、2000年代に日本に上陸したストーブ。名前の由来は、熱を送り出すヒートライザーと呼ばれる部分がロケットの噴射口に似ていることや、“ゴゴゴゴゴゴ”と燃える時の激しい吸気音、火口から勢い良く吹き出す青白い炎がロケットエンジンを連想させたりと諸説あるようですが、正式名称はロケット・マス・ヒーター。断熱された燃焼筒(ヒートライザー)を作ることで火の通り道を高温に保ち、燃焼効率を高める仕組みで、理論上では薪や廃木材・枯れ枝チップなど火が付くものならば何でも燃料として使え、それらを非常に効率よく燃やすことができるエコなストーブです。(※詳しくは下図参照)また焚き口からも火口からもほとんど煙が出ず、(※火付け/消時を除く)燃料をほぼ完全燃焼し、真っ白になった灰は、畑や菜園の土壌改良に使えるなど、環境にも人にも優しいスグレモノ。しかも作りがシンプルな上に廃材のドラム缶やペール缶や一斗缶などで比較的簡単に自作できてしまうので、その敷居の低さ燃料の選択肢の広さ燃費の良さから途上国311の被災地でも活躍しているそうです。




制作開始


まずはボディーから作っていきます。頂き物の一斗缶のフタ部分を万能バサミで切り取っていきます。切り口がかなり鋭いので軍手をお忘れずに!(と言いつつ僕は片手しかしてませんね…汗)





次に側面の下方、焚き口になる部分も先ほどの万能バサミで穴を開けていきます。それにしてもブリキも切れちゃう万能バサミってスゴい!まさに万能





焚き口用の穴が空いたら内側からエルボと呼ばれる煙突の角度を変えるジョイントパーツを通します。






次に外からエルボにT字型煙突をはめ込みます。





一斗缶内部のエルボからヒートライザー(燃焼筒)となる煙突を差し込んだ後、一斗缶の底面に小石を敷き詰めてみました。これはロケットストーブ自体の重量が軽いため、上に重たい鍋やヤカンなどを乗せた際に生じる重量のアンバランスさを補正するためのものです。





ロケットストーブの心臓部分にあたるヒートライザー。この火の通り道をいかに断熱して高温に保てるかがキーになります。そこで今回は断熱材としてパーライトという畑や菜園の水はけ・通気性を高める土壌改良材を使用します。





通気性がよい反面断熱にも優れ、その上超軽量なパーライト。20ℓ入りなのに指でつまみあげられるほどの軽さ。それ故に流し込む時に舞い上がる粉じんが半端ないのでマスクはしておいたほうがベター。少しずつゆっくりと偏らないように流し込んでいきます。





一斗缶の口ギリギリまでパーライトを流し込みました。しかしヒートライザーは一斗缶の口より長く取ってあります。





実はこの部分、事前に穴を開けたせんべい缶を設置するためのスペースでした。
ロケットストーブの作り方はネットで検索すると山のように出てくるのですが、そこには燃焼効果を上げる様々な工夫独自理論が山積しています。ヒートライザーの断熱方法や直径と長さの関係や比率などなど。今回はそんなネットの大海原から選んだ


ヒートライザーの長さ = 一斗缶 + せんべい缶

がちょうどいい!という情報を元に製作してみました。ちなみに今回使用した全ての煙突パーツの直径は100mmです。





一斗缶とせんべい缶の接合にはアルミテープを使用。ここでは毎度おなじみ100円ショップ製のテープをチョイス。かなりの高温になる部分なので耐熱性に不安を覚えつつも





仕上げにキッチンのガスコンロ用ゴトクをせんべい缶の上に乗せて完成!
そんな大したことはやっていないはずなのに、何だろうこのミニマルな美しさは…!
Appleがストーブを作ったらきっとこんな感じに違いない…と、まだちゃんと動作するかもわからないまま大興奮で写真を撮りまくっていた筆者でありました…。





さて次回の【後編】では、この出来上がったロケットストーブに火入れをし、実際に使ってみた使用レポをお送りします。お楽しみに!

(本文おわり)


筆者も使っている万能バサミ。万能!


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